修繕積立金の相場

修繕積立金の相場についてもマンション管理費の相場と同様のことがいえます。
国土交通省が公表している平成20年度マンション総合調査によると、

<全国平均(月額)>
 10,898円/戸
 156円/㎡(専有部分の床面積当りの金額)

となっていますが、実際には築年数、規模、設備の内容によって大きく違ってきます

平成25年度マンション総合調査結果によると、全体の平均は10,783円/戸・月となっておりますが、管理費が戸数が増えると安くなる傾向にあるのに対し、修繕積立金についてはほぼ横並びの結果となっています。20戸以下、501戸以上の場合に高くなるのは、管理費同様変わらない傾向とは言えそうです。

修繕積立金収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)

【表】修繕積立金総収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション総合調査より

出典:国土交通省「平成25年度マンション管理総合調査結果」

続けて、平成25年度マンション総合調査結果から、マンション管理費の相場と同様、金額別、総戸数別、形態別に、平均額等を見ていきます。全て、月/戸当たりの修繕積立金です。

月/戸当たりの修繕積立金額別 管理組合の割合

全体の平均は10,783円ですが、管理費同様、多くは15,000円以下であることが分かります。

【表】<金額別>修繕積立金額/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション管理総合調査より

総戸数別 月/戸当たりの修繕積立金額

管理費同様、両端の金額が高くなる傾向がありますが、その中間部分については緩やかな山型になっている点で異なります。

【表】<総戸数別>修繕積立金額/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション管理総合調査より

形態別 月/戸当たりの平均管理費額

管理費と異なり、単棟型マンションより団地型マンションの方が平均額が高くなっています。
しかし、団地型のみ若干異なりますが、極端に小規模なもの、20階以上の単棟型マンション、21〜50棟の団地型マンションの金額が高いことは同じです。

【表】<形態別>修繕積立金額/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション管理総合調査より

新築マンションの修繕積立金に注意!

新築時の修繕積立金の額は分譲業者が設定し、分譲時に提示します。
かつては管理費の約何割というような設定が多くみられましたが、近頃では分譲時に作成した長期修繕計画に基づいて修繕積立金を設定しているようです。

しかし、算出に当たっては段階増額積立方式(修繕資金の需要に応じて段階的に値上げをしていく)を採用しているところがほとんどです。そして、この方式が適正に用いられているかといえば、はなはだ疑問です。

というのは、当初の設定額が極端に少なくなっているものをよく見かけるからです。

購入当初、修繕積立金の設定額が低ければ毎月の負担額が少なくなり、マンションを購入しようと考えている人にとっては好都合であるのかも知れませんが、一方で分譲会社がマンションの販売をしやすくするために設定した額であるともいえます。

【関連Q&A】

修繕積立金の見直しは早めに!

こうした場合には、マンション購入後の早い段階で修繕積立金の見直しを始めることが必要です。

見直しの時期が遅くなるほど修繕工事実施の段階で資金が不足し、一時金を徴収したり借入れを行なったりしなければならなくなります

マンション購入時の修繕積立金の見方

マンションを購入する場合には、修繕積立金の設定額だけを見るのではなく、修繕計画に予定されている修繕工事費の合計と修繕積立金の関係を注意深く見てみる必要があります

修繕積立金の額の目安

ここで、「相場」とは少し違った観点で、ある数字を見てみましょう。
下記【別表】の国土交通省が平成23年4月に発表した「修繕積立金の額の目安」を見てください。

【別表】修繕積立金の額の目安

 (算出式) Y=AX(+B)

   Y:購入予定マンションの修繕積立金の額の目安
   A:専有床面積当たりの修繕積立金の額(下表) 
   X:購入予定マンションの専有床面積(㎡)
   (B:機械式駐車場がある場合の加算額)

①専有床面積当たりの修繕積立金の額(A)
【表】専有床面積当たりの修繕積立金の額

②機械式駐車場がある場合の加算額(B)
【表】機械式駐車場がある場合の加算額

出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

これによると、マンション全体の延べ床面積が5,000㎡未満で階数が15階未満の場合の1平方メートル当たりの平均月額が218円となっています。
同じように5,000㎡~10,000㎡未満が202円、10,000㎡以上が178円としています。

※機械式駐車場については多額の費用が掛かることから別に必要な金額を加算するようになっています。

なお、このデータは「長期修繕計画作成ガイドライン」に沿って作成された長期修繕計画の事例から導き出されたもので、事例が多くない事や、マンションの規模や形状、共用施設や設備の内容、住環境における機能向上のニーズ等、マンションごとの様々な要因によっても変わってきますので、参考にしながら適正な修繕資金を積み立てるためにご活用ください。

参考Q&A

以下は、大規模修繕工事サポートネット中で取り上げた大規模修繕工事関係の費用に関するQ&Aです。よろしければそちらもご参考になさってください。