マンション管理費の相場

組合員の皆さんは、毎月管理組合に管理費を支払っていますが、この管理費はマンションの敷地や共用部分等の管理を行なうために使われていることはもちろんご存じのはずです。

しかし、この管理費が果たして高いのか安いのか、他のマンションではどれくらいの設定になっているのだろうか・・・・等々、少々気になるところです。
実際、管理費削減や管理会社変更を考えている管理組合の方はもちろんですが、多くのお客様からよく「マンション管理費の相場はいくらですか?」と聞かれます。

実際のところ、「マンション管理費の相場」を一括りに「これです!」とは簡単には申し上げられません。管理費の設定はそれぞれのマンションの規模、共用施設や設備等の維持管理に掛かる費用、サービスの内容など、条件によってかなりの幅があるからです。

参考までに幾つかのデータを見てみましょう。

平成20年度マンション管理総合調査結果(国土交通省)

国土交通省が発表した「平成20年度マンション管理総合調査結果」では、戸/月当たりの管理費は、全体の平均は10,990円/戸・月ですが、20戸以下のマンションでは13,714円/戸・月で、501戸以上のマンションの場合は7,093円/戸・月となっています。

管理費収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)

【表】管理費収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)

出典:国土交通省「平成20年度マンション管理総合調査結果」

全国には4万~5万の管理組合数があるといわれる中、2,167管理組合を対象とした調査ですので、サンプル数が十分とはいえませんが、このデータによれば規模の大きなマンションの方がスケールメリットが出るようです。

平成25年度マンション管理総合調査結果(国土交通省)

続けて同じ国土交通省の「平成25年度マンション管理総合調査結果」からですが、戸/月当たりの管理費平均が、10,661円/戸・月となっており、全体としては若干減少しています。

また、20戸以下のマンション、501戸以上のマンションでは、前回平成20年度よりも顕著に増えている一方、101戸〜500戸までのマンションにおいては、全て減少している結果となっています。
規模の大きなマンションの方が低くなる傾向は相変わらずですが、平成20年度は501戸以上のマンションの管理費が最も低かったのに対し、平成25年度の結果では20戸以下のマンションに次ぐ金額になっていました。

管理費収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)

【表】管理費収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション管理総合調査

出典:国土交通省「平成25年度マンション管理総合調査結果」

金額別、総戸数別、形態別に、平均額だけをシンプルにまとめたグラフは以下のようになります。全て、月/戸当たりの管理費です。

月/戸当たりの管理費額別 管理組合の割合

全体の平均は10,661円ですが、多くは15,000円以下であることが分かります。

【表】<金額別>管理費収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション管理総合調査より

総戸数別 月/戸当たりの平均管理費額

前述の通り、概ね総戸数が増えるに従って安くなる傾向が見られることがお分かりいただけると思います。

【表】<総戸数別>管理費収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション管理総合調査より

形態別 月/戸当たりの平均管理費額

単棟型マンションより団地型マンションの方が平均額は安くなっています。
また、単棟型、団地型を問わず、概ね規模が大きくなるほど管理費が安くなっていることが分かります。

【表】<形態別>管理費収入/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額を除く)※平成25年度マンション管理総合調査より

なお、今回は3,643管理組合が対象とのことで、前回よりサンプル数が大分増えています。

首都圏マンション管理費調査2011年(不動産経済研究所)

また、不動産経済研究所が行なった「首都圏マンション管理費調査2011年」では、階数別、戸数規模別、エリア別、最寄駅からの所要時間等を調査し、その条件ごとに1㎡辺りの管理費を比較・分析したものを公表しています。条件別に比較表が掲載されていますので、自分のマンションの管理費と比較してみるのも良いかも知れません。また、条件ごとに管理費の高低の傾向を把握するのに役立ちます。

ただし、このデータは首都圏の新築マンションの管理費を比較したものなので注意が必要です。

しかし、管理の内容については検証していませんが、マンションの取得方法の約7割が新築である(平成20年度マンション総合調査結果より)ことから、その年度における分譲マンションの管理費の相場を、ある程度掴むことができるのではないでしょうか。

マンション管理費を見直すポイント

私の場合は、経験値から専有部分の面積に対して200円/㎡・月をひとつの目安にしています。もちろん、前述のように一概に言えないので対象となるマンションによりますが、旧住宅公団が分譲した5階建ての団地等、特殊な場合を除いては大きく外れることが少ないからです。

新築マンションを購入する場合、分譲時にはマンション管理業者が決まっています。管理費はその委託業務費を基に設定されていますので、購入時には当然に管理費は決まっています。このような価格設定は、企業の競争原理が働かず分譲業者の思惑通りとなり、委託業務費はややもすると高めに設定されている可能性がないとはいえません。

「平成20年度マンション管理総合調査結果」によれば、マンション管理業者の決定方法は、「分譲時に分譲業者が提示したマンション管理業者である」が83.3%となっています。

中には、委託業務費も分譲当時のままで、まだ一度も見直しを行なっていない管理組合があるかもしれません。もしもそうであるならば、またそうでなくても、この機会に是非一度管理内容を確認し、管理内容に見合った委託業務費となっているか、その項目のひとつひとつを精査する価値はあると思います。